結果発表
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ごあいさつ

坂村 健

公共交通オープンデータ協議会 会長
INIAD 東洋大学情報連携学部 学部長

2020年の東京における最大のイベントは、言うまでもなく東京オリンピック・パラリンピックになるでしょう。私たち「公共交通オープンデータ協議会(略称ODPT)」の活動も、一つの大きなマイルストーンを迎えることになります。

公共性の高いデータをオープン化することは、多くのイノベーションを生み出す―この事実は2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックを契機に、我が国でも広く知られるところとなりました。ロンドン交通局のデータがオープンデータ化されることで、多数の交通系アプリが生み出され、最初の年で実に98億円の経済効果をもたらしたと言われています。ODPTは、多数の公共交通事業者、ICTベンダ、学術機関が中心となり、東京の公共交通データのオープンデータ化を目指し、2015年に設立されたNPOです。2020年東京オリンピック・パラリンピックを目途に、ロンドンとは違い多数の民営化した交通事業者が運営する「東京」における、公共交通データプラットフォームのあるべき姿を模索してきました。

「東京公共交通オープンデータチャレンジ」は、ODPTが主催となり2017年より継続的に開催しているコンテストです。特に、東京オリンピック・パラリンピックも開催される2020年の東京をターゲットに、外国人の方、障碍者の方を含む様々な属性の来訪者の方が、公共交通機関を使ってスムーズに目的地まで移動できる都市を実現するためのアプリケーションを、広く募集してきました。今回結果発表を行う第3回チャレンジでは、JR東日本、東京メトロ、東京都交通局を含む計32社局の公共交通データのほか、国土交通省や東京都の事業で整備が進められている駅構内図のデータも拡充し、公開しました。その結果、国内海外を合わせて、約1000件の開発者登録、約90件の作品応募を頂きました。厳正なる審査の結果、2本の最優秀賞、4本の優秀賞、6本の審査員特別賞が選ばれました。

現在、引き続き第4回チャレンジも開催中ですが、並行して東京オリンピック・パラリンピック以後も継続的なデータ公開を行うための「公共交通オープンデータセンター」も、昨年5月より運用を開始しています。MaaS(Mobility as a Service)が広く注目を集め、公共交通とICT(情報通信技術)の融合がより一層進むことが期待されるこの時代に、私たちの取組みが日本の公共交通データ・プラットフォームの礎として残るように活動して参ります。

独創性に富む多数の作品をご応募頂いた開発者の皆様、また交通事業者の皆様をはじめ今回のコンテストにご協力を頂きました皆様に、厚く御礼申し上げます。今後とも、皆様方のご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。


小池 百合子

東京都知事

第3回東京公共交通オープンデータチャレンジにご参加いただいた皆様、たくさんの作品やアイデアをご応募いただき、ありがとうございました。

東京都は現在、行政の透明性や住民サービスの向上等を目指すオープンデータ活用の取組を推進しており、今回の第3回東京公共交通オープンデータチャレンジでは、東京都も共催という立場で参加いたしました。都営交通における鉄道の時刻表や運行情報、在線位置情報などをオープンデータとして提供し、参加された皆様には、これらのデータの活用により、都民、訪日外国人、障害者の方など多くの方々にとって便利になる様々なアプリケーションやアイデアをエントリーしていただきました。

今回、最優秀賞を受賞された「Mini Tokyo 3D」と「UpNext」ですが、両作品ともオープンデータを可視化するだけにとどまらず、「Mini Tokyo 3D」は、3Dで動く電車で、地上も地下も電車がどこを走行しているか把握でき、しかも眺めているだけでも楽しめ、また「UpNext」は自身の位置情報とミックスし、近隣の駅・列車情報を選別してわかりやすく伝えてくれることに加え、自分の乗っている列車も推測できたりと、各社が提供したオープンデータに大きな付加価値をつけることで、オープンデータの提供側にも、その意義を感じさせてくれるものでした。

その他の応募作品におかれましても、皆甲乙つけがたい優秀な作品ぞろいであったことを申し添えさせていただきます。皆様のご参加に重ねて感謝申し上げます。

東京都では、昨年12月に、2040年代に目指す東京の姿「ビジョン」と、その実現のために2030年に向けて取り組むべき「戦略」を示した「『未来の東京』戦略ビジョン」を策定いたしました。その20あるビジョンの中の一つには、「デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送る『スマート東京』の実現」を掲げております。

今年はいよいよ東京2020大会が開催され、世界からこれまで以上に多くの方々が東京へ来訪されます。訪れた方がデジタルの力で東京をスムーズに移動できれば、東京の魅力を存分に味わい、心に残る素敵な体験をしていただくことができるでしょう。

そのためにも、公共交通関連等のデータを活用し、誰もが便利に使えるサービスが拡大・浸透していくよう、今後も皆様とともに取組を進めてまいります。

改めまして、今回のチャレンジにご参加いただきました皆様に御礼申し上げますとともに、会場にお越しの皆様のご健勝と、今後益々のご活躍をお祈りいたします。

講評

坂村 健

公共交通オープンデータ協議会 会長
INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長

世界一複雑とも言われる公共交通網をもつ「東京」における大量の鉄道、バス、航空データ、さらに国土交通省が整備した構内図データをいかに活用するか─世界中の開発者の研ぎ澄まされたアイデアが、多数寄せられました。

最優秀賞には、2作品を選びました。東京のリアルタイム3Dマップを表示する「Mini Tokyo 3D」は、似たコンセプトはこれまでにもあるものの、非常に高い完成度であることや、ソースコードをGitHubでオープンにしている点が、高く評価されました。入力操作が一切不要という「UpNext」は、技術的に高度であることはもちろん、これまでにない新しいアプローチで、使いやすさを追求していることから選ばれました。

優秀賞には、今回公開したデータを特に巧く活用した4作品を選びました。「わたしの構内図」は、駅構内図データを活用することで、バリアフリーも考慮したルート案内を実現しています。「One Day Trip」は、日帰りできる航空便を探すという、航空データの新しい使い方を提案しています。「バス楽ライド」は、バスの利用に特化したアプリです。「Tokyo Departure Board」は、鉄道、バス、航空全てのデータを利用し、海外からの旅行者の方への案内を実現しています。

また審査員特別賞には、「いついく?くらべる。Powered by Worker Step」「トレなび」「TYO 3 BRUSHUP」「imacoco ~I'm here~」「iOS Framework for ODPTData」「イスラム教徒の観光客向け旅行プランナー」が、それぞれ選ばれました。

東京公共交通オープンデータチャレンジも3回目となり、公開されるデータが拡充されるにつれ、寄せられる作品の完成度もさらに高まっています。寄せられた作品が、東京のスムーズな移動に貢献することを期待しています。 


瀬口 芳広

国土交通省
大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官

国土交通省では、利用者への情報提供の充実による、一層の利用者利便の向上を図るため、公共交通分野におけるオープンデータ化を推進しています。当チャレンジにおいては、第2回より共催者として参画し、交通事業者のご協力により、構内図や施設情報等を整備、提供しています。

本年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催を迎えます。日本中、そして世界中から多くの方々が東京を訪れることが予想され、それぞれのニーズに合った情報を適切に提供することが求められます。オープンデータの活用はこのような課題に対する有力な手段の1つであると考えています。

今回応募いただいた作品はどれもレベルの高いものばかりで、特に交通機関の運行情報や位置情報などを提供するアプリは、使い勝手や情報の伝え方が工夫されていて実際に使いたくなるものも多く、審査する上で大いに悩みました。また、単に移動のための情報を提供するだけでなく、鉄道車両の情報やアニメの聖地を紹介するアプリ、イスラム教徒の旅行計画を支援するアプリなど、アイデアも多彩で、改めてオープンデータの力を強く感じました。

このような多種多様なアイデアを具現化された応募者の皆様の努力に感謝するとともに、国土交通省としましても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間を含む開催となる第4回チャレンジの成功に向けて、引き続き取り組んで参ります。 


戸井崎 正巳

東京都
戦略政策情報推進本部 ICT推進部長

2020年は、多様な来訪者の主な移動手段として公共交通の活用が想定されます。

公共交通関連等のデータを活用することで、はじめて首都圏に来た方や障害のある方など、様々な来訪者が、屋外・屋内・地下空間を問わず、スムーズに目的地までたどり着ける、そんな高度な都市サービスが提供されている姿を想像できる作品が多数ございました。

第3回のチャンレンジでは、第2回から更に進化し、受賞作品以外も含めてより便利なアプリがたくさんありました。

今回は、以前から東京都で進めておりますオープンデータの取組の一つである都営交通の列車・バスの時刻表等のデータに加えまして、一部の駅ではありましたが、施設構内図等も提供させていただきました。

こういった施設構内図を使った案内アプリも応募されていたのを拝見し、複雑な構造のターミナル駅におけるスムーズな案内など、誰もが便利さを実感できる都市サービスが増えていくことを期待できるものでございました。

第4回のチャレンジも開催中ですが、今後とも、オープンデータチャレンジ等の取組を通じて、オープンデータの魅力を高めていけるよう東京都も推進してまいります。

改めまして、本コンテストに取り組んでいただいた皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。 


佐藤 勲

東日本旅客鉄道株式会社
技術イノベーション推進本部 ITストラテジー部門 部長

これまで2回開催された公共交通オープンデータチャレンジにおいては斬新な作品、公共交通機関をご利用になる方々に便利な移動を提供する作品や楽しい移動体験を提供する作品と素晴らしい作品が数多く応募されてきました。

第3回目の開催となった今回の東京公共交通オープンデータチャレンジでは、東京オリンピック・パラリンピック機運の高まりと共に、公共交通機関を使ってスムーズに目的地まで移動できる「東京」を実現する作品が生まれることを楽しみにしておりました。結果、今大会も私の予想を遥かに超える大変多くの応募をいただきました。審査を通じて作品を拝見させていただきましたが、東京オリンピック・パラリンピックが待ち遠しくなるとても素晴らしい作品ばかりでした。公共交通機関をご利用になる方々は様々なニーズをお持ちだと考えておりますが、その多種多様なニーズを満たす可能性を秘めた作品が本チャレンジを通じて生まれたことを大変嬉しく思います。

現在開催中の第4回公共交通オープンデータチャレンジは東京オリンピック・パラリンピック期間を挟んでの開催であり、これまでの3 回の公共交通オープンデータチャレンジを超える作品が数多く生まれ、東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げることと期待しております。また、日本のみならず世界中から東京にお越しになる方々に日本の公共交通機関の素晴らしさを感じていただけるよう、弊社も取り組んで参る所存でございます。

本チャレンジにご応募いただきました皆さまならびに関係者の皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。 


古屋 俊秀

東京地下鉄株式会社
常務取締役

東京公共交通オープンデータチャレンジは3回目の開催となり、これまで以上に完成度の高いアプリケーションや洗練されたアイデアを多数応募いただきました。中には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を意識した観光に役立つ作品や外国語で記載された作品の応募もございました。

今回の東京地下鉄特別賞は、サービスの実用性や発想の新規性などを主眼に置いて審査を行い、3作品を選定いたしました。

受賞作品に共通しているのはWEB方式を採用していることで、これにより事前にアプリケーションをダウンロードすることなく情報を取得することができ、高い実用性が特長となっております。また、ユーザ同士で移動にまつわる情報を共有することで、新たな「移動」の価値をもたらす、斬新な発想を感じさせる作品もございました。

受賞作品を含め、今回のチャレンジに応募いただきました多くの方々に敬意を表すると共に、心より感謝申し上げます。

また、現在開催中の第4回東京公共交通オープンデータチャレンジにおきましては、公共交通オープンデータを最大限に活用していただき、これまで以上に多様な作品が応募されることを期待しております。

受賞作品

最優秀賞 Mini Tokyo 3D 草薙 昭彦
UpNext 大澤 達蔵
優秀賞 わたしの構内図 大里 虹平
OneDayTrip 日帰り飛行機ナビ 大野 伸一
バス楽ライド レシップ株式会社
中村 友哉・足立 和那・加藤 優
Tokyo Departure Board Little Bird Solutions
審査員特別賞 いついく?くらべる。Powered by Worker Step 羽田野 湧太
トレなび 奥田 顕浩・高橋 時市郎
TYO 3 BRUSHUP ナカムラカズヒロ
imacoco ~I'm here~ Team imacoco
iOS Framework for ODPTData 池間 健仁
イスラム教徒の観光客向け旅行プランナー 日本工営株式会社 中央研究所
東日本旅客鉄道特別賞 wiev-map 水藤 裕太
Sugukuru Mikael LE GOFF
東京会場ロケーター 守山 博理
東京地下鉄特別賞 とらたる 亀田 遼希
TOKYOアニめぐり 株式会社研文社
シェア散歩 同志社大学経済学部 宮崎耕ゼミ4班
石島 孝俊・石垣 智貴・馬服 美季・柳井 智花・安田 あい
東京都交通局特別賞 t o b u s R 白井 洋至
Tōkyō Day-Pass Search 三井情報株式会社 ものづくりサークル
どこ?バスのりば 上林 知彦
INIAD特別賞 Sounds of Transport Umut Karakulak
Delain! 鎌谷 天馬・野崎 智弘・池田 逸水
スマートフォンセンサを用いた鉄道ユーザの乗車列車特定手法 野口 和宏

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